スーパーカーブーム
| オレが幼稚園児だった昭和51年〜52年ごろ、スーパーカーブームがあった。スーパーカーというのは、俗にいう「フェラーリ」や「ランボルギーニ」などイタリアンカーを中心としたスポーツカーのことだ。もう少し細かくオレ流定義づけをすると、ツーシーターで最高時速が250km〜300kmと高速で、特徴的なフォルムをもつ車と考えてよいと思う。 ブームのきっかけは『サーキットの狼』というマンガであることは間違いないと思う。いわゆる「レースマンガ」のパイオニアで、風吹裕矢という一匹狼暴走族が街道レース・首都高レースを経てプロレーサーになり、F1ドライバーにまでなる話だ。パフィーの「サーキットの娘」は、奥田民生がこのマンガをパロったタイトルだと思われる。 おそらく兄貴の影響だと思うが、オレもそのマンガを読み(漢字がわからなかったけど、ひらがなと絵でだいたいのストーリーはわかった。園児もなかなかあなどれない)、各スーパーカーのカッチョイイデザインにしびれてしまった。それからはたくさんのスーパーカーを模写したものである。 しかしそのうちマンガや写真だけでは飽き足らず、実物を見たいと思うようになってきた。幸い当時オレは世田谷区に住んでいて、甲州街道と環八がすぐ近くだったので、一日中道路を眺めては、たま〜に通りかかるポルシェやフェラーリをみて喜んでいたものである。やはり見やすい車と滅多にお目にかかれないレアな車があり、ポルシェやフェラーリ308GTBなどはよく見られるのだが、ランボルギーニやフェラーリ512BB、ランチアストラトスなどはほとんど路上では見られなかった。単純に日本に輸入された台数が少なかったためだと思われるが。
人気のスーパーカーの要素には、デザイン以外にもその「最高速度」がかなり大きなウェイトをしめていたと思う。というか、それがすべてであったといってもよい。 子どもは単純なので、要は「一番速いスーパーカー」に憧れる傾向が強い。どうやら「時速」という項目の数字が大きいほど速いらしいとわかると、もう注目するスペックはここだけである。 「フェラーリ512BBは302kmだ」 このような会話がなされていた。実際は空気抵抗とかトルクとか、さまざまな要素が絡み合ってその速さがきまる上、その最高速度はあくまでベストエフォートなのだが、ガキのころはそこまでよくわかっていないので偏差値のごとく「最高速度」を信奉ていた。 ただオレは少々へそ曲がりなので、みんなが「イイ!」というスーパーカーはあえて敬遠した。最高速度が少し落ちるけれども、みんなが「ほほお〜、そうくるか」というような選択がすきだった。この行動パターンは大人になったいまでもあまり変わっていない(笑)。 オレのおめがねにかなった、そのスーパーカーとは・・・ 「ランボルギーニ・ミウラ」 である。最高時速は280kmと少し弱いが、なんといってもそのフォルムがイカス。流線型のなめらかなそのアウトラインといい、個性的なヘッドライトといい、リアのデザインといい・・・まさに芸術。ランボルギーニ史の中でも、屈指ではないだろうかと思うのはオレだけ?
実は一度だけ、生ミウラを見たことがある。スーパーカーブームにのって、環八沿いには外車のディーラーがけっこうできていた。そのショールームに!いたんだよ、青のミウラが!カッコよかったなあ。 また、ブーム中はいろいろなグッズも発売された。ミニカー、プラモ、消しゴム、雑誌、トランプなどだ。そーいやTV番組とかもあったな。テレビ東京あたり(当時は「東京12チャンネル」)で。谷田部レーシングスクールかなんかの教員だった辻本さん(だったかな?)とかでてた。この人は『サーキットの狼』にもでてた。確か。 子どもが一番遊んだグッズは、おそらく消しゴムだとおもう。これでレースすんのよ。ボールペンのノック部分をつかって。ボールペンを一度ノックして、ボタン押してもとにもどすでしょ。そのときに勢いよく出てくる先端を、消しゴムのケツ(リアの部分だね)にあてがうと、そのバネの力を推進力にして走るわけだ。おもに机の上でやるんだけど、裏技があるんだな。その消しゴムの腹の部分(車の底面)にホチキスの針を埋め込むと、すべりがよくなって加速度アップ!80ヘエくらいもらえた?
このレコードに何が録音されているかというと、なんとスーパーカーの排気音などである。コンセプトは「キミもスーパーカーに乗ってみよう」というようなバーチャルものであった。レコードをかけると、ナレーター(ドライバーに扮してる?)の声から始まる。 「今日、きみはボクと一緒にスーパーカーを体験する」 ブロンブロン、ブロロロロロロロ(排気音) 「あれがキミが乗る、『カウンタックLP400』の排気音だ」 ガチャリ(ドアの開く音) 「さあ、一緒に乗ってみよう」 ガチャリ(ドアの閉まる音)ブロン、ブロン、ウォン、ウォン、(アクセルふかす音?) 「出発だ。まずは2速。どうだ?感じるか?このGを」 Whooooooooooooonnnnnnn!(疾走?) 「今、君はまさに『カウンタック』の最高速を体感している!」 みたいな内容だった。こんなんでカウンタックの最高速を体感するのにはかなり無理があるが、子どものころはそれだけでも満足だった。今から思えば、別に本物の「カウンタック」の音を録音しなくてもいいわけで・・・。いや、本物だったと信じたいが。 ブームの終焉をさかいに、オレは車にはまったく関心がなくなったんだけど、やっぱり街中でスーパーカーを見かけると、今でも思うね。「やっぱカッコイイなあ」ってね。 (2003年11月22日) |
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